語り合い Talking
議論と言うのは他者と言葉を交わす一つの形式である。同じく言葉を交わすのに「語り合い」という形式もある。どちらも互いに相手へ言葉を投げ掛けるが、特に語りでは謂わば自分に向かって言葉を投げ掛けるという側面がある。相手とは詰り自分の投影だからである。相手に語り掛けながら、同時に自分に言い聞かせている。
今、親しい友人と語り合っていると想像してみよう。自分の内面を確認してみると、言葉を口から出す前に語り掛けようという心の態勢が有る。その態勢が先ず有って、次に言葉を発する。そしてその態勢には、一歩退いて自分の姿を見る視線が有る。言葉を声にして出す前に自分の想いを自ら確認している。語り合いは自覚を伴っている。
嬉しい時、「嬉しい」と声に出して言う前に嬉しさが心の内に有る。嬉しさの表出は時に言葉を伴わないこともある。身振り手振りであったり、涙であったり。或いは「ワー」という叫びに成ることもある。嬉しさの想いそれ自体は言葉を伴っておらず、一つの心の態勢である。そして心の態勢は呼吸と密接に繋がっている。そのことを息遣いという言葉で私達は表現して来た。
語り合いは、物質に対応した表層の意識の下に在る内的な意識の層で為される想念の交流である。そこに有るのは意識の共鳴であり、論理的思考は後ろに退いている。表層の物的意識は自他分離を基調とするが、語り合いでは共感が基調である。
語り合いには自分を後ろから見る視線、詰り自覚がある。そこに見える自分を静かに受け入れるのである。語り合いの共感とは互いに自他を受け入れることであり、そこでは利己心が退場している。ここに利己心を治める一つの道が有るのではないか。
利己心は肉体生命の維持継続を要請する。詰り、肉体生命が維持継続されればその役を終える。ところがその役の範囲を越えて、物慾、権力慾、或いは名誉慾に成ると問題が生ずるのである。利己心を忌避し、完全に心の内から払拭することを目指して苦行する本当に真面目な人が居る。しかしそれは出来ない相談であろう。利己心を無くすことは肉体生命を放棄することであり、それは死を意味する。利己心は無くすべきものではなく、治めるべきものであろう。そして利己心を治める為に自覚が必要である。汝自身を知り、慾心が暴走しないように治めるのである。
語り合う心の態勢を会得し常に自覚を手にしていることが、無用な不幸を経験しない無事な人生には大事なことであろう。不幸に遭遇したとしても、それにめげず、それを糧として成長して行くにも自覚が大きな力を発揮するだろう。
心の態勢と呼吸、息遣いは一体である。自覚を得る心の態勢を会得するのが呼吸法の一つの意味である。いずれそういう観点から呼吸法を考えてみようと思う。
Talking
Discussion is one of the ways to exchange words. And talking is another way to do it. Both of them throw words at each other. But espesially in talking, when you speak to the other you throw words to yourself at the same time. You persuade the other as if telling yourself, do’nt you?
Imagine that you are talking with your close friend. Looking your mind in talking, you will notice that there is an attitude to talk before speak words. And this attitude has a glance to see yourself from backward. There is self-awareness in this attitude.
Talking is a resonance of mind. Though we discuss with logical thinking, it is not available in talking. The logical thinking is in the room next to the one of talking.
Selfishness is to maintain phyisical life. So the role of it ends when physical life gets to continue to exsist. Problems occur when selfishness runs beyond its own role. When it becomes the desier for wealth, power, or honour, it makes people even kill each other. We must live, so we can not get rid of selfishness entirely. We should control it instead.
Self-awareness means to accept real oneself. What avoid it is the emotion not to loook at oneself. Oneself means an idea what I am. We hold it firmly. It is hard to melt that idea. But talking has the attitude to accept each other. It may be able to lead self-awarenass. And self-awareness may be able to control selfishness. Know yourself and control mind.