技と呼吸・Technique and Breathing

 呼吸合気の技は相手の呼吸を開く技である。相手に触れた瞬間に相手の呼吸を外す。いわば、呼吸の弁を外すのである。そうすると相手は自らの身体の動きを手放したような状態になる。そこで相手を下ろす。その時相手は息を吐く。次には息を吸う段に成り、相手は起きようとする。起きて来たところでまた相手の身体を下ろせば相手、詰り受けは投げられることに成る。投げと受けは同じ呼吸をするが、投げは受けの呼吸を誘導し、一連の動きの中で受けに呼吸を取り戻す間を与えない。攻撃の仕方や、投げ受けの位置関係の違いで、いろいろな技の形が出来上がって来る。

 呼吸合気では相手の呼吸を抑えるようなことはしないが、吐くと吸うの間に受けの呼吸を抑える時間を取るやり方もある。こちらの方が寧ろ一般的であろう。呼吸の弁を外し受けの身体を下ろし、それを維持したまま受けを導いて投げる。或いは一度抑えを解いてから投げる。呼吸を抑える時間を取ることで受けは投げられたという感覚を得、投げは投げた感を得る。だから呼吸を抑える時間を取らない呼吸合気の技ではやった感は無い。

 上に述べたやり方とは別に、呼吸を外さず、相手に触れた瞬間に相手の呼吸を塞ぐ、或いは詰める、突き上げる方法もある。呼吸の弁をいきなり塞いでしまうのである。そうすると受けは身体が硬直し身動き取れなくなる。投げは受けをその状態に突き込んで直ぐに下す。下ろすというより落とす。受けは塞がっている呼吸をいきなり外され、落ちるように投げられる。これは強烈な技に成る。

 呼吸の違いは技の形の違いとなる。例えば、手首どりには多くの技がある。手首を取りに来た受けの手を、呼吸を外して導き廻しながら上下に弾ませて投げる。これが普通になされている形だろう。合気上げで受けの動きを捉まえて投げることも出来よう。或いは、柳に風で、受けの手が動くように動かして投げるやり方もあるだろう。目の前に在る物を取りに行って、それを掴んでみたら何もなく、手応えが無かったら、思わず呼吸が外れてしまう。
 これらの違いは手法の違いであり、優劣の問題ではない。呼吸合気は日ごろ抑えられがちな呼吸を開こうとするから、それに沿ったやり方を工夫するが、他の手法を否定する訳ではない。いろいろなやり方を試み、呼吸への理解を深めて行くのが大事である。

 心の有り方と呼吸は表裏一体であり、呼吸を治めることで心を治めることが出来る。しかし実際にこれを行うのは易しいことではない。だからこそ私達はいろいろな方法で呼吸を治める稽古をする訳である。丹田呼吸法や瞑想の呼吸法などである。私は呼吸合気もその一つでありたいと思っている。
 私達の心には基底があり、その上で心は活動いている。基底は、常識や価値観、また幼い時の体験などで構成されている。そしてその基底は利己心に裏打ちされているようだ。心は気付かぬ中にこの基底に拘束されている。しかしこの基底の向こう側にも心はある。自己を知るとは向こう側の心に気付くことである。或いは、向こう側から基底そのものを明らめることである。

 呼吸を掃除し、心を見透し良くして自己を知ろうとするのが呼吸合気の目指すところである。


Technique and Breathing

The basic techunique of Kokyuu Aiki is to take off breathing. That is, to open the door of breath. When it opens and can’t close, you can’t control your own move. Imagine, that it is spring and you are sitting on a bench in a park. Suddenly a breath of air blows on your cheek. At that time your breath will go away, and your move may be out of your control. In the same way, if your breath is to be open, you can’t move yourself.

When your opponent attacks with the hand, you toutch and lead it, as if you stroke it. Your hand is just like the spring breeze. In this situation you put down the opponent’s hand, and the opponent’s upper body goes down. The opponent exhales at that time. And next the opponent needs to inhale raising the upper body. Then you put down the opponent again, that is, throw down. In the line of these moves you control the opponent’s breathing, and the opponent can’t move by themselves. Although you control your own breathing by yourself.

Mind and breath are two sides of th same coin. Breath refrects mind. You can control your mind by controlling your breathing. But it is not easy to do that. That is the reason why there are various breathing methods. I hope Kokyuu Aiki is one of them.
Mind has its foundation, composed of common sense, values, experiences in childhood, & etc. They may be backed with selfishness. The mind moves on this foundation. But there should be another mind beyond it. To know the self means to be aware of this mind. Or to clearly look at the foundation from the other side.

Kokyuu Aiki trys to clean breath and see through mind well. That is ” Know Thyself “.

勘の言葉

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