杖の稽古は一人で出来る呼吸合気の稽古法である。腕を伸ばす時息を吸い、縮める時息を吐く。腕を上げる時息を吸い、下ろす時息を吐く。仙骨を両横から留める姿勢を維持する。呼吸を滞らせない。息が先に動き身体はそれに従って行く。これらを確認しながら稽古しよう。( 足の動きは呼吸と係わらせる必要はない。)

 杖を持つ時、小指で握らない。 小指で握ると肩が固まって呼吸が詰まる。その状態で杖を前から押させ(引かせ)てみてる。その時の呼吸の状態を自ら観察してみてください。小指で握った時と小指を離した時の違いを体感できるでしょう。小指を離した時はしっかり持っているとは感じられないが、実際にはしっかりと持っていることが分かるでしょう。
 小指を離して、親指と人差し指、中指で軽く摘まむように杖を持つと呼吸に障りが無く楽に杖を扱い、身体を捌ける。

 突く時、跳び出すのではなく、いったん後ろ足を前足に交差させて前へ踏み出し次に反対の足を踏み出して突く。こうするとしっかり足を踏み込んで杖を突くことが出来る。小指で握って杖を持つと肩の動きが抑えられ、呼吸が詰まる。それにつれて足の動きが制限され、後ろ足を前足と交差させて前へ踏み出すことが出来ない。いきおい跳び出さないと突けないということになってしまう。

 横面打ち。最後の構えは最初と左右を反対にした構えで、そのまま左右反対の動きをして、初めの構えに戻ることが出来る。

 最後の構えから左右反対の動きをして初めに戻る。

 これらの技を繋げて、初めの構えから最後にまた初めの構えに戻るような一連の杖技を作って、動きを連続して繰り返し稽古をすることが出来る。